2025/09/08

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徹底比較!オフショア開発と地方のニアショア開発や首都圏企業での開発の違いとは?

徹底比較!オフショア開発と地方のニアショア開発や首都圏企業での開発の違いとは?

国内のIT人材不足と人件費の高騰が深刻化する中、多くの企業が海外に活路を見出すオフショア開発に踏み切っています。
しかし、「本当に自社に最適な選択なのか?」と疑問を持つ方も少なくないでしょう。

本コラムでは、これら3つの開発手法をコスト、人材、コミュニケーション、リスク管理など、多角的な視点から客観的に比較・解説します。
この記事を読めば、事業フェーズや目的に合わせた最適な開発パートナーを見つけるための具体的なヒントが得られるはずです。

※本コラムでは、国内の地方都市への開発委託を「ニアショア開発」と定義します。

開発先の徹底比較

それぞれの開発方法についてメリットとデメリットを比較していきます。

オフショア開発

海外の人件費が安い企業にシステム開発を委託する手法です。

メリット

圧倒的なコスト削減

オフショア開発が提供する最大の価値は、事業の損益分岐点を大きく引き下げるほどのコスト競争力です。
このコスト削減は、単にエンジニアの人件費が安いという一点に留まりません。
オフィスの賃料、光熱費、採用・教育コストといった、開発チームの運営に関わるあらゆる固定費を国内に比べて大幅に圧縮できます。
結果として、同じ品質のシステムを開発する場合でも、総開発コストを首都圏企業の半分から3分の1以下に抑えることも可能です。

このコストメリットは、特に複数年にわたる継続的なプロダクト開発や、大規模なシステム刷新において、絶大な効果を発揮します。

 

優秀な人材確保と人材の安定性

海外、特にベトナムやインドといったIT先進国には、若く優秀なエンジニアが豊富に存在します。
これらの国々では、国策としてIT教育に力を入れており、大学で専門教育を受けたポテンシャルの高い人材が毎年数多く輩出されています。
そのためWebシステムやモバイルアプリ開発など、幅広い開発領域で経験を積んだ専門家集団を見つけやすいのも大きな魅力です。

国内では採用が極めて困難なスキルセットを持つエンジニアチームを、比較的短期間で編成できる可能性を秘めています。

 

柔軟な開発体制

ビジネスの状況に応じて開発チームの規模を迅速かつ柔軟に変更できる点も、オフショア開発の強みです。
例えば、製品のローンチ直後や大規模な機能追加の際にはチームを増員して開発スピードを加速させ、運用・保守フェーズに移行したら最小限の人数に縮小するといったリソース配分が可能になります。

これを国内の正社員で実現しようとすると、採用コストや法的な制約から非常に困難ですが、オフショア開発では契約ベースで柔軟に対応できるのがメリットです。

 

社内リソースの最適化

開発やテスト、運用といった、多くの工数を要する工程を信頼できるオフショアチームに委託することで、市場調査、競合分析、製品のコアとなるUX設計、事業戦略の立案、顧客との対話といった、企業の競争力を直接左右する上流工程に社内の人材を集中させることができます。

開発の実務から解放されることで、社員は本来注力すべき付加価値の高い業務に専念でき、企業全体の生産性向上に繋がります。

 

デメリット

コミュニケーションの難しさ

言語や文化、商習慣の違いから、コミュニケーションに課題が生じやすい点は最大のデメリットです。「意図が正確に伝わっていなかった」という認識の齟齬が、品質の低下や手戻りを引き起こすリスクがあります。

これを防ぐには、進捗や品質を管理するマネジメント手法に工夫が求められます

 

マネジメントコストの増加

物理的な距離や文化の違いから、国内開発以上にプロジェクト管理に工数がかかる場合があります。
進捗確認のためのドキュメント作成や定期的なオンラインミーティングの設定など、円滑なプロジェクト推進のためのマネジメントコストが想定以上にかかる可能性があります。

これらのコストは、プロジェクト開始前の綿密な準備や、コミュニケーションの工夫次第で十分に抑制することが可能です。
明確な報告ルールの設定や、言語の壁をサポートするブリッジSEのような役割を置くことで、認識の齟齬を未然に防ぎ、スムーズに開発が行えます。

 

カントリーリスク

政治的・経済的なカントリーリスクの点も忘れてはいけません。
委託先の国の政治・経済情勢の変動は、事業継続におけるリスク要因です。政情不安による治安の悪化、急激なインフレによる人件費の高騰、為替レートの変動などが挙げられます。

信頼できるパートナー選定と、リスク分散の視点が重要になります。

 

オフショア開発が向いているケース

オフショア開発は、国内での確保が難しい10名以上の大規模チームを要する開発や、プロジェクトの状況に応じて開発リソースが変動する案件に非常に相性が良いです。
人員の増減に柔軟に対応できるというメリットが大いに活きます。

また、言語の違いによるコミュニケーションロスを最小限に抑えるため、要件や仕様が明確に定義されたプロジェクトとも非常に相性が良いと言えるでしょう。

とはいえ、どうしても日本国内で開発をしないといけないようなプロジェクトを除いて、コストを含め大体のプロジェクトと相性が良いのがオフショア開発の特徴です。

 

オフショア開発についてさらに細かく解説

オフショア開発とは?メリット・デメリット | デメリット対策とは

ニアショア開発

ニアショア開発とは国内の地方都市に拠点を置く企業に開発を委託する手法です。

 

メリット

円滑なコミュニケーション

言語や文化、商習慣の違いがなく、仕様の細かなニュアンスの共有や迅速な意思疎通が可能になります。
そのためコミュニケーションロスを少なく抑えることができ、一体感を持った開発を推進できます。

品質を担保しやすく、物理的な距離がある程度近いため必要に応じて対面での打ち合わせも比較的容易になり、結果として、手戻りのリスクが減り、品質の安定に繋がります。
さらに時差の影響も受けずに即時のやりとりが可能なため、トラブル対応時のリスクを最小限に抑え、リカバリーすることができます。

 

災害時のリスク分散

開発拠点を首都圏と地方に分散させることで、災害など有事の際のリスクを低減できます。
また、国内で完結するためオフショア開発のようにカントリーリスクもないため、事業の継続性という観点から見てもメリットがあります。

 

地方での隠れた人材確保

高い技術を持ちながら、首都圏に住まず地元で就職を希望するエンジニアを確保することができます。

ライフスタイルの変化により、UターンやIターンで地方に拠点を移す優秀なエンジニアが増えており、こうした人材は定着率が高い傾向にあり、安定したチームで長期的なプロジェクトを進めやすいのが特徴です。

 

デメリット

エンジニア人材確保の難しさの激化

日本全体でIT人材が不足していますが、地方都市も例外ではありません。
Web開発や業務システム開発の経験者は一定数存在しますが、AIやデータサイエンスといった最先端分野の専門家や、特定のニッチな技術に精通したエンジニアの絶対数は首都圏に比べて圧倒的に少ないのが現実です。

求めるスキルを持つ人材が見つからず、プロジェクトの開始が遅れたり、技術選定の幅が狭まったりするリスクを考慮する必要があります。

 

積み重なる間接コスト

物理的な距離があるため、重要な局面での対面会議には、担当者の交通費や宿泊費、移動時間といった目に見えないコストが発生します。
また、「国内だから大丈夫だろう」という油断からコミュニケーションが疎かになると、認識の齟齬が生まれ、それを解消するための追加の管理工数が必要になるケースもあります。

こうした間接コストが積み重なることで、当初見込んでいたコストメリットが相殺されてしまう可能性も十分に考えられます。

 

限定的なコスト削減効果

オフショア開発と比べるとコストの削減効果は限定的で、中途半端な選択肢となる可能性があります。

首都圏での開発に比べれば人件費やオフィス賃料を抑えることはできますが、その削減幅はオフショア開発には遠く及びません。地方都市の人件費も年々上昇傾向にあり、オフショア開発のような劇的なコストメリットは期待できません。

ニアショア開発では首都圏企業よりも20~30%ほど安くはなりますが、オフショア開発であれば地域差はあるものの、例えばベトナムであれば概ね50〜70%ほどのコスト削減が期待できます。
補助金などを活用できたとしても、根本的なコスト構造の違いを埋めるのは難しいのが実情です。

 

ニアショア開発が向いているケース

コストを抑えつつ、日本の法律や税制に準拠する必要があるシステムを開発したい場合はニアショア開発が向いています。

勤怠管理や経費精算システムなど、法律や日本の商習慣への理解が求められる開発において、海外の開発者に背景を説明するのは少し非効率なため、国内のニアショア企業が向いています。
また、大規模な機能追加は予定していない既存システムの保守・運用など、安定した運用を重視する案件にも適しています。

国内開発(首都圏企業)

国内での委託開発の中でも首都圏企業への委託をここで参照するものとします。

メリット

質の高い密な連携

発注側の企業も首都圏に拠点を置く場合、対面での密な連携がしやすく、打ち合わせの難易度も低い点が大きなメリットになります。
そのため要件定義や仕様の細かい認識合わせがしやすく、結果的に戻しも少なくできます。
さらに緊急時には対応がしやすく、連携という点においては一番いいでしょう。
要件が非常に複雑で対面での議論が不可欠な案件であればその重要性は高まってきます。

発注側の企業の拠点がある場合は、同じ地方にある企業であれば高い連携が取れるという点では同じです。

 

トップレベルの人材確保

優秀なエンジニアは首都圏に集まる傾向が強く、最新技術への感度も高いです。
そのため、技術的に非常に難易度の高い、先進的なプロジェクトを任せる際の安心感は最も高いと言えるでしょう。
デメリット

圧倒的な高コスト

オフショア・ニアショア開発に比べると圧倒的な金額差があります。
エンジニア単価がオフショア開発の2倍以上、ニアショア開発の1.5倍程度高く、今後も物価変動や需要拡大に伴い、上がっていくでしょう。

例えばベトナムでしたらエンジニアの単価は30〜60万円のレンジですが、首都圏企業のエンジニア単価は80〜120万円と倍以上になります。

同じ予算を投じた場合、国内開発ではごく小規模なチームしか編成できないのに対し、オフショア開発であれば、より大規模で多機能なチームを長期間維持することが可能です。
これは、開発スピードやプロダクトの機能拡充において、スタートラインから大きな差がつくことを意味します。

 

熾烈な人材獲得競争

日本の少子高齢化を背景としたIT人材不足は、特に優秀な人材が集中する首都圏で最も深刻です。
大手IT企業、高額な資金を調達したスタートアップ、外資系企業が同じ人材プールを巡って激しい獲得競争を繰り広げており、優秀なエンジニアの採用は極めて困難になっています。
必要なエンジニアを確保できず、「事業計画はあるのに、開発が始められない」という機会損失に繋がるケースも後を絶ちません。

 

国内開発(首都圏企業)が向いているケース

最高水準のセキュリティと、開発者との極めて密な対話が不可欠なプロジェクトに適しています。
コストは最も高くなりますが、それを上回る戦略的メリットが存在する場合の選択肢です。 

例えば、製薬会社のAI創薬システム開発など、明確な仕様が固まっておらず、研究者と開発者が日々議論を重ねながらアジャイルに開発を進める必要があるような、企業の競争力の核となる研究開発プロジェクトなどがこれに該当します。

なぜ今、オフショア開発が選ばれるのか

3つの開発手法を比較してきましたが、今、多くの企業がオフショア開発を選択しています。
その理由は、単なるコスト削減に留まりません。

圧倒的なコスト競争力による投資余力の創出

将来の経済見通しが不透明な中、旧来のコスト構造のままでは企業の成長は鈍化してしまいます。
オフショア開発によって開発コストを最適化することは、単なる経費削減ではなく、新規事業やマーケティングといった、企業の未来を創るための「投資余力」を生み出す戦略と言えます。

限られたリソースをどこに集中させるべきか、という経営課題に対する一つの解がオフショア開発です。

深刻化する国内エンジニア不足からの脱却

経済産業省の試算では、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると言われています。
今後、国内でのエンジニア採用はますます困難になり、採用コストも高騰し続けるでしょう。

事業計画を立てても、実行に必要なエンジニアを確保できなければ意味がありません。
この構造的な問題を解決し、安定した開発体制を確保するための手段として、オフショア開発に踏み切る企業が非常に増えています。

豊富なリソースによる事業スピードの加速

現代のビジネスにおいて、プロダクトをいかに早く市場に投入できるかという点は、競争優位性を決める重要な要素です。
国内では開発パートナーを見つけるだけで数ヶ月を要し、機会損失に繋がるケースも少なくありません。
一方、海外に目を向ければ、若く優秀なエンジニアが豊富なため、迅速に開発チームを立ち上げ、プロジェクトをスタートさせることが可能です。

この事業スピードの加速こそが、オフショア開発がもたらす大きな価値の一つです。

目的にあった開発手法の選択を

オフショア開発、ニアショア開発、国内開発の3つの手法を比較解説しました。

それぞれに一長一短があり、どの手法が最適かは、企業の事業フェーズ、プロジェクトの性質、そして何を最も重視するかによって変わります。

コストを抑えつつスピーディーに新規事業を推進したいのであればオフショア開発、国内の商習慣に合わせた安定運用を望むならニアショア開発、そして最高レベルの連携と品質が求められる研究開発には国内開発が適していると言えるでしょう。

自社の状況を客観的に見つめ直し、最適なパートナーシップを築くことが、システム開発を成功に導く鍵となります。

 

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弊社は約20年のベトナム オフショア開発経験を持つ日系のITソリューションのリーディングカンパニーとして、ソフトウェア開発・システム開発を提供してきています。
オフショア開発をご検討の際は是非ご相談ください。
https://allexceed.com.vn/offshore-software-development/

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