2025/04/22
Share
「まずは一度、試してみては」 現場目線で語る、オフショア開発のすすめ オフショア開発を成功させるためのコミュニケーション(後編)

前編では実際にアレクシードベトナムとの実際の開発方法や案件についてお伺いしていきました。
ここからは日本との開発の違いやアレクシードベトナムのオフショア開発全般について聞いていきます。
オフショア開発はベトナムでの「開発フェーズ」が挟まる
中井さんから見て、自社のリソースでの開発とアレクシードベトナムとのオフショア開発の違いってなんだと思いますか?
一番分かりやすい違いは、やはり「言語」だと思います。
日本国内での開発であれば、ちょっとした内容でも口頭でサッと伝えられることが多いですが、オフショア開発の場合は翻訳や通訳を挟む必要があります。その分、コミュニケーションに一工夫が必要になります。
また自社だけで開発する場合は「スタートから納品までが1本の流れ」で進みますが、オフショア開発の場合は、間にベトナムでの「開発フェーズ」が挟まることで、プロセスが2段階に分かれます。
正直なところ、開発のスピード感だけで比較すると、日本国内での開発のほうが早いと感じる場面もあります。
ただ、こうした印象は、当社のように自社内で一定のエンジニア体制を整えており、スピード感を重視した対応が可能な環境だからこそ、という部分もあるかと思います。
とはいえ、長期的な関係の中で、専門用語や業務背景が共有されていくことで、自然とスピード感も向上していると感じています。
プロジェクトの初期段階では全体像も共有
オフショアだと品質が低い、と思われるイメージがありますがそのあたりはいかがでしょう?
現在の品質については高いレベルにあると感じていますが、実は過去には品質面での課題もあり、対策を講じてきました。
長期的には、業務改善の一環として品質に関する課題が出た際にはその都度しっかりとレビューを行い、一方で短期的な対応としては、プロジェクトごとの特性に応じて、まずは明確な指示書を用意して開発を依頼するというスタイルをとるようにしています。
ただ、単に仕様だけを伝えると、背景や目的が伝わらず誤解が生まれることもあるので、プロジェクトの初期段階では「なぜこのシステムを作るのか」「どんな背景があるのか」といった全体像もきちんと共有するようにしています。
また、納品された成果物については日本側でも必ず確認・検証を行い、そのうえでエンドユーザーへのリリース対応を進めるというプロセスを徹底しています。
こうしたさまざまな取り組みを重ねてきた結果、今では安心して任せられる体制が整っていると思います。
もちろん、まったく同じシステムを継続して開発しているわけではないので比較が難しいところもありますが、同じプロジェクトに継続的に関わっていれば、それだけ経験も蓄積されて、どんどん対応スピードが上がっていくのを感じます。
人材の多さ、スキルの高さは、結果的にスピードにもつながる
ベトナムでオフショア開発をするメリットは、どんなところにあると感じていますか?
やはりまずはコストの面ではないでしょうか。
当然ベトナムも単価が上がってきてはいるもののまだまだ日本のエンジニアと比べるとかなり安いと思います。
それから、今、日本国内で開発者や技術者を採用するのはかなり難しくなってきていると感じます。
それに比べて、ベトナムにはIT人材が豊富にいて、スキル面でも、大学などで専門的に学んできた若手メンバーが多い印象です。そういった面では、大きなメリットがありますね。
最近は日本国内でIT人材の採用が難しくなっているという声も多いですね
正直なところ、日本でエンジニアを募集してもIT技術を大学などで専攻してきた人材が多数入社しているわけではなく、プログラミング未経験の方や文系出身の方も多いんです。
そういう意味では、ベトナムの人たちは、大学からシステム関連の学科を卒業して、ある程度技術やスキルがある人でないと採用されないですし、システム開発において「選ばれし者たち」と言ってもいいと思います。
だからこそ、スキルの高い人材が豊富にいるというのは、日本だけで開発を進めるよりも明確なメリットだと感じています。
品質については一概に比較しづらい部分もありますが、少なくとも今、貴社に関しては、しっかりとした体制の中でやってもらえているので、品質面での不安はまったくありません。
ただし、それが「ベトナムだから品質がいい」というわけではなく、「アレクシードベトナムだから安心して任せられる」という話になると思っています。
スピードについては、一概に言えないところはありますが、人材が豊富な分依頼をしたら、すぐに開発に取りかかれる可能性がある、という点は大きいです。
日本国内で新たなプロジェクトを始めようとすると、そのプロジェクトに必要な技術をもった開発人材に手空きがない場合もあり、結果としてオフショア開発のほうが早く対応できることもあるので、実質的なスピード面でのメリットもあると感じています。
もちろん、それが常に実現できるかは状況による部分もありますが、日本だけでやる場合と、ベトナムのオフショア企業を活用する場合では、大きな違いがあるのではないかと思います。
スキルセットやプログラム言語のひとつとっても、日本側では扱っていない言語に詳しい人材がベトナムにいる可能性もある。
そういう意味では、採用の幅もスキルの広さも確保できるのは、大きなメリットですね。
人材の多さ、スキルの高さというのは、結果的にスピードにもつながってくると考えています。
ウォーターフォール型のままでは対応しきれない部分も
アレクシードベトナムの今後の課題、期待するところを教えていただけますか?
今後の課題として感じているのは、「スピード」と「柔軟性」の両立です。
品質はすごく良くなっていて、高く評価できる一方で品質を守るために時間と人手をかけているという状況でもあるので、スピードが犠牲になっている部分もあります。
品質をしっかり担保しつつ、AIやツールなどの活用によって、テストに割いているリソースを開発側に回すといった見直しも進めていきたいと考えています。
柔軟性の面で言えば、今まではウォーターフォール的な進め方をしてきましたが、世の中がアジャイル的な開発スタイルにシフトしている中で、ウォーターフォール型のままでは今後は対応しきれない部分も出てくる可能性があります。
すぐにアジャイル的な開発をしていくというのは難しいので、省略できるところは省略するとか、優先順位をつけて柔軟に対応するといったマルチな動き方を徐々にできるようにしていきたいです。
一度やってみよう、というスタンスでいい。
どう進めていくかはちゃんと提案してくれます
これからオフショア開発を進める企業に対してどういうアドバイスをしますか?
僕はどういうふうに委託を進めていくのかという経験値はかなりあると思っていますが、実際にオフショアをやっていない企業さんだと、どうやって始めたらいいのかまったく分からないと思うんですよね。
でも、そこは関係なしに一度やってみよう、というスタンスでいいと思うんです。
どう進めていくかは、アレクシードベトナムからちゃんと提案してくれます。
極端な話、小さなスポット案件でまず試してみて、それで合わなければやめてもいいわけで、一度やってみるというのは、ひとつの手だと思います。
考えてる間にもどんどん時間が過ぎていくじゃないですか。
だから、一度試してみるっていう選択肢はすごく有効だと思います。
あとやっぱり、自社で日本のエンジニアを採用して進めるとか、日本のベンダーに頼むという選択肢もあるとは思いますが、費用面で考えれば、やはりオフショアのほうが断然コストは抑えられると思います。
それに、日本での開発ってやっぱりスタートまでに時間がかかるんですよ。ベンダー探しから始めなきゃいけないですし。
でもベトナム側って、動きが早い。さっきの話にも出ましたけど、そういうスピード感の高さもオフショアのメリットだと思います。
だから僕としては、「オフショア開発、使ってみてはどうですか?」っていう気持ちですね。
それとは別に、これはオフショアならではの楽しさというか、面白さの話なんですけど、異文化というか、異なる国の人たちと一緒にコミュニケーションをとって、仕事を進めるというのは、単純に新鮮で楽しい部分もあると思います。
楽しい部分でもあり、やりがいのある部分でもあると。
先ほどからコミュニケーションについてはかなり工夫をされているのが伝わってきました
昔はよくあったのが、「もう開発に取りかかってくれてるだろう」とこちらが思っていたのに、実は進んでいなかった、というようなケースですね。
例えばRedmineなどのツールでコメントを入れてやり取りはしているんだけど、こちらは「伝えたつもり」、向こうも「書いたから伝わってるはず」という感覚で、お互いに確認し合わずに放置されてしまっていたことがありました。
その結果、納期がクライアントと合っていなかったり、気づいたときにはもう時間がない、取り返しがつかない、みたいな状況になってしまったことも実際にありました。
そういった経験から、今ではコミュニケーションの取り方を意識的に見直すようにしています。
たとえば、私が何かコメントしたときにリアクションがなければ、こちらから確認するようにしていますし、貴社のエンジニアも「一度連絡したからOK」ではなくて、返信がなければもう一度確認してくれるようになっています。
お互いに一方通行にならないようにしようという意識は、すごく大事にしています。
さらに、プロジェクトの準備段階からのコミュニケーションも大切にしています。
「こういう内容の勉強をしておいてくださいね」「この日までにアサインの準備をお願いします」「別のプロジェクトがこの日で終わるので、そこから参加お願いします」など、段取りやスケジュールについても事前にしっかり共有しておくようにしています。
そういった事前準備や進行中の情報共有を丁寧にやることで、トラブルを防ぎやすくなりますし、お互いに安心して進められると思っています。
工夫をすれば、日本での開発よりも良くていい開発手法だと思っています。
ベトナムのエンジニアって若くて技術力のある人たちが多いですから。
オフショア開発を長年経験されたからこその中井さんならではのお話でした。
今後ともご協力をお願いいたします。
貴重なお話、ありがとうございました。
Related Case Studies