2025/10/01

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「もはや"オフショア"という言葉自体、必要ないんじゃないか」 アレクシードベトナムと創る開発体制 (後編)

>>>前編はこちらから

前編では実際にアレクシードベトナムとの実際の開発方法や案件についてお伺いしていきました。
ここからはアレクシードベトナムのオフショア開発全般について聞いていきます。

安心感と信頼感があるから長い間、委託できる

アレクシードベトナムに長く開発を委託しているその理由をお伺いできますか?

いくつかあるのですが、やはりシステム開発において安心感と信頼感があるからというのが一番大きな理由だと思っています。

先ほどもお話ししましたが、ITコミュニケーターの会議のファシリテーション能力の高さや日本人責任者の方がしっかりサポートに入ってくれる安心感は他のベンダーさんとは大きく異なると思います。

安心感でいうと、プロジェクトの途中で仕様変更や追加要件が発生した際にも、御社は常に前向きに対応してくださいました。
「これは対応範囲外です」と線引きするのではなく、まずは「どういう形であれば実現可能か」を一緒に検討してくださる。
そういった協力的な姿勢が、長期的なパートナーシップを築く上で非常に重要だと感じています。

また日系オフショア企業ということもあり、日本式の開発経験があるというのが非常に大きいですね。
我々のかっちりしたウォーターフォール型の開発スタイルに合わせてもらっている点は高く評価しています。

我々はラボ契約をしており、一定のメンバーを固定でお願いしています。
その中で、各メンバーが個々に成長していって、技術力もどんどん身についていった。結果として、我々が提供する様々なサービス——たとえば異なる言語や分野のプロジェクトにも柔軟に対応してもらえるようになりました。

「この言語しかできません」とか、「この分野しか無理です」といった制限がなく、幅広い仕様の要求に対しても柔軟に対応してくれる、そこが継続してお願いしている理由かなと思っています。

同じような案件を何度も繰り返すケースにおいては、信頼性がどんどん高まっていくので、依頼する側としても、「どういう形でアレクシードベトナムさんにお願いすれば良いか」というのが、徐々に浸透してきて、結果として信頼感が増していく、そんな印象はあります。

作業効率、効率化という点でも…これは少しニュアンスが違うかもしれませんが、自分たちのチームが御社への依頼の仕方を理解してくることで、「我々が上流工程のアウトプットをどう出せば、アレクシードベトナムさんにとって効率よく作業できるのか」というお互いの理解度が上がってくる。
それによって、内製チームとアレクシードチーム双方の生産性が向上してきたという実感があります。

 

今後、アレクシードベトナムにどういう期待を持っていますか?

これまでお願いしてきたのは、比較的古いシステムのマイグレーション案件がメインでしたが今後は詳細設計を含めた開発案件も委託していきたいと思っています。

また新しい技術やAI活用なども含めて、市場の流れに合わせた開発が必要になります。
開発手法そのものもどんどん変わっていく時代ですので、そういった部分を一緒に取り組んでいけるといいなと思っています。

最近は「製品をとにかく早く出さなければいけない」というスピード感が求められています。
単に短納期というよりも、「より小さなロットで、細かくリリースを重ねていく」ようなプロジェクトが非常に増えている印象を受けます。

ですから、従来のような「ウォーターフォールで仕様をがっちり決めて、一括で開発を回す」という開発スタイルから、今後はより小さく、速く、頻繁にリリースするスタイルが主流になっていくでしょう。
そうなると、オフショア開発においても、これまでとは違った連携の仕方が必要になってきます。どうしても物理的・言語的な距離があるので、机を並べて開発するような内製チームと比べると、ロスが出やすい。その中でどうやってキャッチアップし、連携していけるか。これが今後の課題だと感じています。

 

そうですね。オフショア開発も今までと同じではどうしても行き詰まってしまう。

これからは「我々のプロダクトをより深く理解してもらうこと」が重要になってきます。
単なるウォーターフォール型の工程をお願いするのではなく、一緒にプロダクトを作っていくというスタンスで関わってもらわないと、今後は委託開発という形が難しくなっていくと思っています。

逆に言えば、そこを一緒に協力しながらやってもらって、我々の事業に貢献してほしいと考えています。

 

コミュニケーションの工夫がオフショア開発ではさらに重要に

オフショアをすでに長年経験されていますが、オフショア開発を成功させるために必要なことってなんだと思いますか?

オフショアを進めるうえで大事なのは投げる範囲のスコープをしっかり切り分けること。これはとても重要です。
そのためには依頼する側として説明にしっかりと時間をかけて、相互の認識齟齬をなくすアクションが必要になってくると思います。

また、相互でルールを決めていきそれを順守していくこと、順守していく体制を作っていくことが大事になってきます。
「後から設計書を更新します」などはNGにしていくのがいいでしょう。

そしてこれらのことも含めて根本的に一番大事なことはコミュニケーションの工夫をすることだと思います。
細かいところだと、会議の進め方や依頼の出し方にも工夫が必要ですね。
ディスカッションが難しいというか、事前に用意されていないと、議論が難しいんです。
日本企業同士であればその場でのディスカッションもできますが、オフショアだとそうはいかない。これは御社に限った話ではなく、オフショア全般に言えることです。

「ディスカッションが難しい」のではなく、「ディスカッションのやり方に工夫が必要」なんです。
会議の設計にも工夫が必要で、たとえば「この議題には誰々さんに入ってもらう」とか、
「進捗報告であれば定型的なやりとりでいい」といった明確な進め方の工夫が重要なんです。
なんとなくフワッとした状態で会議に臨まない、というのは特にオフショア開発では大事です。

 

日本国内でも本来は同じことですよね。

特にオフショアでは、それがまず無理だという前提で臨まないと、うまくいかないですね。
オフショアと純粋にやるのであれば、レポーティングのやり方までカチッと決めた上で進めたほうがいいですね。

コミュニケーションの工夫っていうのは本当にたくさんあって…。

 

そうですね。絶対に必要だと思います。コミュニケーションの工夫は不可欠だと思います。

逆にそれを理解せずに外に出してしまうと、お互いに不幸になりますからね。

 

日本人同士なら曖昧なまま進めることができても、明確にしないといけない部分がある

そういったコミュニケーションは国ごとによって異なったりするのですか?
中国と比較して、たとえば言語面など。中国の方が楽なんじゃないかなって思うんですけど。

一般的に日本語能力に関しては中国の方が高い傾向にあると言われていますが、コミュニケーション・開発の部分の両面でも御社も中国の企業もあまり変わらないと言うのが正直な感想です。
ただこれは自社の事情なのですが、中国の企業だと一人オフィスに駐在してくれており、それが少しやりやすいかなと思います。

ですが、結局のところ、外部委託において、分業制の中でどうやってチームとして取り組むかというのが課題なんですよね。
さっきいった会議体の工夫とか、連携の仕方については、どこでも同じようにやっています。

中国が良い・悪い、ベトナムが良い・悪いということではなくて、外部委託であっても、一つのプロダクトを作るためにチームとしてどう連携していくかが重要なんだと思います。
だからこそ「チームビルディング」や「チームでプロダクトを作るための工夫」が必要なんです。

日本国内でも本当はそういったことをやる必要があるけど、日本人同士だと、どうしても曖昧なまま進んでしまう部分ってありますよね。そこに文化の壁があって、だからこそ明確にしないといけない部分が出てくる。

つまりどこに出すとしても、本来は意識すべきこと。でも、オフショアでは特に強く意識する必要があると思います。

 

日本人の曖昧な空気を読む文化はハイコンテクストですよね。
海外では、はっきり、わかりやすく伝えるという文化がある。
このコミュニケーション文化の違いが背景にあるのかな、という気がします。

だからこそ、「出す側」もしっかり意識しないといけないと思うんです。
単に仕様書をポンと渡して依頼するだけではなく、自分たちの製品や要望をどう理解してもらうか、その工夫が必要なんですよね。

自分たち発注元と実際に開発を行うオフショア開発企業が「ワンチーム」としてやっていくことが大事なんです。
国内の外部委託でも、すでに組織をまたぐという難しさがあります。オフショアになると、さらに組織+国境をまたぐことになる。その分、コミュニケーションの工夫が必要になってくるんです。
そのコミュニケーションの工夫ができたら、オフショア開発はシステム開発においてかなり優位なアドバンテージだと思います。

「オフショアだから」というハンデを感じたことはない

最後に、御社から見てアレクシードベトナムのおすすめポイントってありますか?

おすすめポイントとしては、まず日系オフショア企業であり日本企業の開発スタイルや文化を理解している経験値があるという点です。

これはありきたりかもしれませんが、非常に重要です。
たとえば「ドキュメントをどうやって理解してくれるか」とか、「納品物にどんな期待をしているか」といった部分において、御社は非常に理解が深いです。

正直、日本の開発会社にお願いするのと遜色ないですし、品質面でも「オフショアだから」というハンデを感じたことはないです。

もはや「オフショア」という言葉自体、必要ないんじゃないかとも思うくらいです。それに付随するような形になりますが、御社には現地に日本人が滞在しており、ITコミュニケーターも強力なのもおすすめですよね。

今後も引き続き、一緒に会社の発展を支えて行って欲しいと思います。

 

ありがとうございます。
今後も御社の発展のためにアレクシードベトナムが支援してまいります。
貴重なお話、ありがとうございました!