2026/04/15

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【2026年3月施行】ベトナムAI法とオフショア開発 ー 日本向け・ベトナム向けで変わる影響と対応策

【2026年3月施行】ベトナムAI法とオフショア開発 ー 日本向け・ベトナム向けで変わる影響と対応策

2026年3月1日、ベトナムでAIに関する法律が施行されました。正式名称は「人工知能法(法律番号134/2025/QH15)」。東南アジアで初めて制定された包括的なAI法です
(出典:Vietnam AI Law Passed by National Assembly – The Legal Wireベトナム政府公式サイト(ベトナム語原文))。

「ベトナムの法律だから関係ない」と思われがちですが、そうとも限りません。一方で「必ず対応が必要」かというとそれも場合によります。
本コラムでは、「オフショア開発でベトナムを使っていて、AI開発も検討しているが、この法律って関係あるの?」という疑問に正面から答える形で解説します。

自社のケースはどちらか

ベトナムAI法が適用されるかどうかは、「誰のためのシステムか」「AIを使う側か、AIを作る側か」の2軸で変わります。

①日本市場向けシステムをベトナムの企業・チームに委託し開発している

最も多いパターンです。日本のSIerや事業会社が、ベトナムのエンジニアチームに開発を委託し、日本のユーザーが使うシステムを作っている場合が該当します。

→ 基本的にこの法律の直接的な対象にはなりません。

ベトナムAI法の適用範囲は「ベトナム国内でAI関連活動を行う国内外の組織・個人」です。
日本の企業が日本のユーザー向けにシステムを開発委託しているだけであれば、法的な義務は生じません。

開発プロセスで使うAIツール(GitHub CopilotやCursorなど)についても同様です。これらはエンジニアが開発補助に使うツールであり、ベトナムのユーザーにAIサービスを「提供」しているわけではないため、対象外です。

 

②ベトナムのユーザー向けにAIを搭載したシステムを提供・展開する

日本企業がベトナム市場向けのサービスにAI機能を組み込んで提供する場合、またはベトナム市場向けに独自のAIモデル(RAGシステムやファインチューニングなど)を開発・展開する場合が該当します。

→ この法律の対象になります。対応が必要です。

具体的には次のようなケースです:

  • ベトナムのユーザー向けアプリにAIチャットボットを組み込んで提供している
  • ベトナム市場向けに独自AIモデル(RAG、ファインチューニングなど)を開発・展開している
  • AIを使った医療診断・金融審査・教育評価などのサービスをベトナムで提供している

対象外でも知っておくべき2つのこと

日本向けシステムの開発がメインであっても、以下の2点は把握しておく価値があります。

将来的にベトナム展開を検討するなら今から設計を意識する

今は日本向けのシステムでも、将来ベトナムや東南アジア市場への展開を検討するなら、設計段階からこの法律を意識しておくと後から作り直すコストを避けられます。特にAI機能を含む場合、リスク分類の要件を後から満たそうとすると改修コストが大きくなりがちです。

委託先のベトナムチームが法律を認識しているか確認する

ベトナムのオフショアチームが自国の法令に対してどう対応しているかは、パートナーとしての信頼性に関わります。直接の対象ではなくても、法令への意識が低いパートナーはリスク管理全般が甘い可能性があります。

何をする必要があるか

自社のシステムがベトナムのユーザーに提供・展開される場合、以下の対応が必要です。

STEP 1:AIシステムのリスク分類を行い、分類ごとの対策を行う

まずは自社で開発するAIシステムについてリスク分類を行い、そのリスク分類の対応を行う必要があります。

■高リスク(医療診断・金融審査・教育評価・重要インフラ・行政の意思決定支援など)
人の生命・権利に直接影響するAIが対象です。主な義務は次のとおりです:
・政府への事前審査申請(展開前にリスクがないことを審査してもらう手続き)
・科学技術省への通知・登録
・人が必ず確認・修正できる仕組みの設置
・問題が起きたら政府の専用窓口を通じて即座に報告
・外国企業の場合、ベトナム国内に商業拠点または公認の代理人の設置が必要

■中リスク(ユーザーを誤解させたり行動に影響を与えるおそれのある対話型AIなど)
チャットボット系のサービスは多くがここに該当する可能性があります。
自社でリスク分類を実施して記録として保管し、「このサービスはAIが動かしています。」といったようなユーザーへの明示が義務付けられています。

■低リスク(上記以外の大半のAI)
義務は最小限です。問題が指摘されたときに説明できる体制があれば十分です。

AIのリスクごとにより対策が変わってくるため、そのリスクに応じた対応を行うことが重要です。

 

STEP 2:「誰が提供者か」を契約書に明記する

この法律は、AIに関わる人を立場別に分類しています。
(出典:Vietnam’s First Standalone AI Law – IAPP

立場 簡単に言うと 義務の重さ
開発者 AIを設計・作る側 軽い(報告義務のみ)
提供者 AIを自社ブランドで市場に出す側 重い(審査・登録・各種開示)
事業展開者 AIを使って実際に事業をする側 提供者と共同で義務を負う

ベトナムのエンジニアチームが「開発者」、日本企業が「提供者」になるケースが多く、日本企業側により重い義務が生じます。現行の委託契約で役割が曖昧なままなら、今すぐ確認が必要です。

 

STEP 3:AIが生成したコンテンツには「AIが生成している」ことを明示

AIが生成した音声・画像・動画には、AIが作ったことを示す表記を付けることが義務付けられています。
チャットボットでは「AIと会話しています」とユーザーにわかる表示も必要です。

 

既存システムは「準備期限」を確認する

施行前から動いているAIシステムには準備期間が設けられています。
(出典:Vietnam: Artificial Intelligence Law, 第35条 – Baker McKenzie

対象分野 準備期限
医療・教育・金融分野のAI 2027年9月1日まで
その他のAIシステム 2027年3月1日まで

新規システムは開発時に対応を、既存システムも期限が来るまでに準備を進めてください。

 

違反した場合のリスク

違反が認定されると、業務停止命令・是正措置命令のほか制裁金が科せられます。法律の解説記事によれば法人への制裁金上限はVND 20億(約1,200万円相当、為替レートにより変動)とされていますが、具体的な金額は今後整備される政令・施行令で規定される見込みです。
(出典:Vietnam AI Law 134/2025 Compliance Guide – Pertama Partners

規制だけじゃない:優遇措置の活用も

ベトナムAI法には企業にとってプラスに働く仕組みも盛り込まれています。
(出典:Vietnam AI Law: Regulatory Milestone – Vietnam Briefing

  • 規制サンドボックス:新しいAI技術を限定的な環境で試す機会を外国企業にも開放
  • 国家AI発展基金:AI研究・開発への資金援助制度
  • スタートアップ向けバウチャー制度:AI開発コストの一部を支援
  • AIモデルの資本計上:AIモデルやアルゴリズムを会社の資本として認める仕組み

ベトナムをAI開発の拠点として活用することを検討している企業には、規制対応と同時にこうした優遇措置の活用も視点として持っておく価値があります。

まとめ

自社のケース この法律の影響
日本市場向けシステムをベトナムチームに委託して開発している 基本的に対象外。将来のベトナム展開やパートナーの法令意識は確認する価値あり
ベトナムのユーザー向けにAIシステムを提供・展開 対象。対応必要。STEP 1〜3を参照
ベトナムで独自AIモデル(RAG・ファインチューニング等)を開発してベトナム市場展開 対象。対応必要。高リスク該当の可能性も確認を

法令の詳細規定は今後も整備が続きます。ベトナムに現地法人を持つオフショア開発パートナーと連携することで、最新の法令動向を踏まえた開発体制を維持しやすくなります。
今後、AIの開発なども増えていく際に、法律面での理解も重要になってきます。

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